憧れの1人暮らしで隣人に恋した 加筆修正分

憧れの1人暮らしで隣人に恋した

228 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/15(金) 01:24:21.22 ID:GHqrW.c0
終戦まりあ記念日まであと3ヶ月

ニコ動に加筆分がアップされてから時間も経ったことだし、投下してもいいだろうと勝手に判断

ニノもしいやだったら言ってくれ、すぐやめるから

それでは、最後の3月から

228 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/15(金) 01:24:21.22 ID:GHqrW.c0
3月になった。

春のポカポカとした、日差しが心地いい。
俺は駅のホームで、電車を待っていた。

納品の帰りである。
この後は、事務所に戻って、川田さんと合流をして
新しい仕事の、打ち合わせに出かける。

川田さんが会社興してから、その仕事は今までで1番大きな仕事になる。
俺と川田さんが、2人で演出をするのだ。

ディレクターと、ADの関係では無く
初めて対等な立場として、同じ舞台に立つ。

失敗は許されない!
今までの経験を、全て出し切るんだ!

その時、俺の携帯が鳴った。

油田である。

俺は電話に出た。

「もしもし。あぶちゃん。久しぶり~!」

「二宮さん!僕、今日卒業式だったんです!!」

「あっそ。おめでとさん。就職決まった?」

「就職浪人です・・・。いや!そんなことより!!!」

「なんだよ。なに興奮してんの?」

「今日卒業式で、まりあちゃんと、久しぶりに会ったんです!!」

まりあ・・・。

「彼女・・・。結婚取りやめたみたいですよ!!!」

229 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/15(金) 01:26:21.62 ID:GHqrW.c0
え・・・。

結婚取りやめ・・・?

なんで・・・・・・?

「おい!油田!!理由はなんだ!?理由は!!??」

その時、ホームに電車が入ってきた。

クソッ!!うるさくて電話の音が聞き取れない!!

「それは・・・よく・・・分からない・・・んです。」

「ごめん油田!!電話切るね!!」

なんだ・・・?

一体どういうことなんだ・・・?

去年の正月から・・・。1年と3ヶ月・・・。

この間に、まりあと悟に何があったんだ・・・??

分からない・・・。

俺には全然分からない・・・。

いくら考えても想像がつかない・・・。

俺は再び携帯を握った。

このアドレスにメールを送るのは・・・。約2年ぶりだ。

まりあ・・・。

俺は、まりあにメールを送った。

230 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/15(金) 01:27:46.03 ID:GHqrW.c0
「油田に聞きました!結婚取りやめの話。理由を教えて下さい!」

俺は駅の階段を、駆け下りた。

ここだと万一、電話が掛かってきた時にうるさい。

改札を飛び出し、少し静かなところで返信を待った。

まりあ・・・。

なんでなんだ??

悟となにがあったんだ??

電話でもメールでもいいから、返事をして来い!!

その瞬間、俺の携帯がピカピカと光った。

携帯の画面を見る。

「まりあ」

俺は慌てて、本文を見た。

意外な文章が、俺の目に飛び込んできた!

「勝手でごめんなさい。。。光輝くんに会いたいです。。。」

会いたい・・・??俺と・・・??

なんだ??

なにがあったんだ???

俺はすぐに、メールを返した。

「とりあえず、何があったのか教えて下さい!!」

231 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/15(金) 01:29:08.55 ID:GHqrW.c0
今度の返信は、すぐに来た。

「光輝くんにとても会いたいです。。。待ってます。。。」

話にならない。

俺は電話に切り替えた。

しかし、いくら電話を掛けても全く出ない。

またしても、メールに切り替えた。

「どこで待ってますか?場所を教えて下さい!」

送信して5分以上が経過した。

しかし返信が来ない。

ちくしょーーー!!!

会社に戻らなければいけないんだよ。

今日は川田さんと、大切な打ち合わせに出かけるんだよ!!

理由だけでも知りたい!!

・・・・・・・・。

もうこの方法しか、残っていない!!

悟だ・・・。

アイツに聞くしかない!!

俺は悟の番号に、電話を掛けた。

しかしコール音は、鳴るものの
こっちも全く、電話には出ない。

俺は何度も掛け直した。

時間がねーんだよっ!!頼むから出てくれよっ!!

そして10回くらい掛け直してやっと

ガチャ・・・。
という音がした。

出た!!!

232 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/15(金) 01:30:05.96 ID:GHqrW.c0
悟が電話に出た!!

「俺だ!!光輝だ!!」

悟は少し暗い声で
「ああ・・・。久しぶりだな」と言った。

そんな挨拶などどうでも良い。

「結婚が中止になったって聞いた。理由はなんなんだ?」
俺も若干、声のトーンを抑えた。
冷静に話そう・・・。冷静に・・・。

しかし悟は
そんな俺の言葉を、無視するかのように黙りこんだ。

時間が無いんだよ!!早く答えてくれ!!

「頼む悟・・・。教えてくれ・・・。」

俺は静かにそう呼びかけた。

「お前がまりあを・・・。振ったのか・・・??悟・・・。」

「・・・そうだ。」
やっと反応があった。

「なぜだ?まりあが好きなんだろ?なぜなんだ?教えてくれ・・・。」

俺は次の悟の、言葉を静かに待った。
話出すまで待つしかない様子だ。

「信用出来なくなった・・・。」
悟の声は更に暗くなっていた。

こんな悟の声は、今までに聞いたことが無い。

「どういうことなんだ?」
俺は更に問い詰めた。

「俺と彼女が付き合ってから・・・。
どれくらい経ったと思う・・・??」
俺に質問返しをしてきた。

知るか!!そんなこと!!

悟が次の言葉を吐き出した。

「ヤらせてくれないんだよ・・・。彼女・・・。」

233 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/15(金) 01:30:55.59 ID:GHqrW.c0
え・・・??

そんな・・・理由で・・・。

そんな理由・・・なのか・・・??

結婚を取りやめる理由が・・・。

まさかそれなのか・・・?

頭の血管が、切れそうになった。

「結婚するまでダメだってさ・・・。笑っちゃうだろ・・・?」

・・・・・・・。

バカなのか??テメーは??

笑えるわけがねーーーーだろがぁぁぁぁーーーー!!

そんなクソみたいな理由で、結婚中止ってか!!??

あんまりザケたこと、抜かしてんじゃねーーーぞ!!!

完全にDQN時代の、俺に戻っていた。

「やっぱりテメーは、あん時ブチ殺すべきだったな・・・。」
俺は怒りに震える声でそう言った。

コイツはもう親友では無い。

「・・・・・・・・。」
悟が黙り込む。

「おいコラ!!テメー!!反応しろや!!」
こんな言葉がまだ出てくるなんて・・・。自分でもかなり驚いた。

もう何を言っても、悟は反応しなかった。

こんなヤツ相手にしていても仕方がない。

「テメー今度、実家に帰ってくる時は気ぃつけろや・・・。
うっかり俺に会ったら、半殺しにしてくれんぞ!」

そう言って電話を切った。

234 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/15(金) 01:31:46.96 ID:GHqrW.c0
電話を切った後
メールセンターへ
新着メールが届いていないか、アクセスしてみた。

「新着メールはありません」の文字。

会いたいって言われても、どこに行けばいいんだよ!!

俺はこの後、大事な打ち合わせがあるんだよ・・・。

打ち合わせ・・・。

仕事と・・・。まりあ・・・。

またこの2つを天秤に掛けるのか・・・??

汗が出てくる。

まりあは心配である・・・。

でも今日の仕事は・・・。打ち合わせは・・・。
今までで1番大きな仕事なんだ・・・。

川田さんは以前、俺にこう言った。
「色恋沙汰ごときで、仕事をおろそかにしたら、許さない!」

もし俺がここで、まりあを選択したら。
俺こそ川田さんに、半殺しにされる・・・。

いや。そんなことで済めばまだいい。

ここでまりあを選択すれば
せっかく復帰したのに、もう映像の仕事ができないかもしれない・・・。

廃人からここまで立ち直るのに、どんだけ苦労をしたんだよ!!
師匠であり恩人である川田さんに、迷惑を掛けることができるかよ!!

2年前のあの時と同じで、仕事を選択すればいいんだよ!!

まりあはもう、元カノなんだよ!!
まりあもう、他人なんだよ!!

チクショーーーーー!!!!!!!!!!!!!!

235 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/15(金) 01:32:26.99 ID:GHqrW.c0
俺は携帯を握りしめた。

そして電話を掛けた。

川田さんに!!

手が震えた・・・。

まりあや悟に、電話をするのと訳が違う・・・。

でも・・・。

やっぱり・・・。

やっぱり・・・。

やっぱりまりあが心配なんだ!!

俺は川田さんの、携帯へ電話を掛けた。

川田さんは、すぐに電話へ出た。

「おう!二宮。今どこだ~?」

俺は大きく息を、吸い込んだ。

「川田さん・・・。申し訳ありません・・・。」
もう後戻りは、出来ない。

「打ち合わせは・・・。川田さん1人で行ってもえらないでしょうか・・・?」
川田さんの反応がない・・・。

切れているのか・・・?
そりゃ切れて当然のことを、俺はいま言っている・・・。

「なんでだ?」
川田さんの声が、急に怖くなった。

俺は奥歯を噛み締めた・・・。
そして言った。

「申し訳ありません・・・。色恋沙汰です・・・。」

236 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/15(金) 01:34:31.31 ID:GHqrW.c0
別にまりあと、ヨリを戻したいわけではない
そんな可能性があるともおもっていない。
事実メールを返してこないまりあに対して、苛立ちもムカつきも感じている。
単純に元カノが心配なのである・・・。

でもこれは立派な、色恋沙汰であろう。

川田さんは
「二宮よぉ・・・」と低い声を出した。

獣が唸り上げるような声だ。

おれは多少後悔した。

今、恩人であり師匠である川田さんを怒らせている。
もしかして、クビかもな…俺・・・

「すみません・・・。行かせて下さい。」
俺は静かな声で、もう1度お願いした。

確固たる自信はない。
でも、川田さんなら、何も聞かずに俺を信頼してくれるような気がしたのである。

川田さんの、反応を待った。
「二宮・・・。お前は急に、別の仕事が入ったんだ・・・。」

???

「今度局Pに会った時にはそう言え。ちゃんと口裏合わせろよ」

川田さんは俺の言葉を信じてくれた。
「行って来い!」と言ってくれているのである。

しかし・・・。

「テメー明日会社に来た時は、ボコボコに殴ってやるからよ!」

そ・・・そりゃそうですよね・・・。
俺は明日を想像して身震いした。

(ななみに次の日、ボコボコにされなかったが、ケツを30発以上蹴られ、4の字固めをかけられた。

その時の、足の骨がメリメリという気持ち悪い音をたてた。
俺はあの音を一生忘れない。

237 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/15(金) 01:35:20.65 ID:GHqrW.c0
しかし、川田さんは、4の字固めの後、
「まあ・・・。お前を信用していたけどよぉ…」
と言ってくれた。

痛さと嬉しさで涙が出そうになった。

「ありがとうございます!!」
そう言って俺は川田さんの電話を切った。

ありがとうございます・・・。川田さん・・・。

まりあが待っている場所は分からない。
でもとにかく電車に乗り込んだ。

俺の冷静な部分が
「なにバカみたいなことやってんだ?ドラマじゃねーんだぞ! 会えるわけないじゃん!大人なんだから仕事優先しろよ!」と訴えかけてくる。

その一方で別の考えも、脳内で大きく膨らんでゆく。

俺は高校時代にある事件がきっかけで
人の気持ちを一番に考えたいと思うようになった。

今のまりあの気持をかんがえてみる・・・。

しかしいくら考えても、男の俺にはまりあの気持ちが分からなかった。

「あんな理由で、男から振られる気持って・・・。
女性にはどんな辛さだろう・・・?」

ヤケなんか起こしてないよな?

万が一にも変な考えは起こすなよ!!

俺は恋愛に関しては素人である。
大げさではなく、この時は本気でそんなことを思っていた。

俺が行くまで待っててくれよ!まりあ!!

でもさ・・・

でもさ・・・・

あって何ができるだろう?

俺はただの元カレだよ?

今は赤の他人だよ?

今の俺にまりあを救えるのか?

243 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 21:57:03.96 ID:fAJ/LJk0
全く分からない。
でも行くしかないよな…。

しかしもう仕事は、断ってしまった。
こうなればせめて、まりあに会いたい。

会ってなにができるだろう?

全く何も分からない。
でも行くしかないよな・・・。

俺は電車に乗っている間も
まりあにメールを入れ続けた。

「場所を教えて下さい!」

同じ文章を、何度も何度も・・・。

しかし返信は来ない。

なんで返信してこないんだよ!?
会いたいだろ?俺と!?

俺は苛立っていた。
まりあの居場所が分からないのはモチロンだが
仕事のことが気になって仕方がなかった。

川田さんにかけた負担を思うと胸が痛む…。

しかし・・・。
ここまで返信が来ないっていうのはどういう事なんだ?

もしかして、今のまりあは
俺が想像できない程の苦しみを抱えているのかもしれない・・・。

最悪の事態が、脳裏をよぎった。

まさか・・・。それはないよな・・・?

訳が分からず、電車に飛び乗った瞬間は
仕事よりまりあを選択してしまった事をずっと悩んでいた。

しかし、時間が進んでいくうちに・・・。

徐々に・・・。

徐々に・・・。

244 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 21:58:40.01 ID:fAJ/LJk0
「俺にとってまりあはどういう存在なのだろう?
本当にただの『大切な人』それだけなのか?

自分にとって、まりあは一体どういう存在なのか?
俺の脳内は完全に、その疑問に支配されていった。

もしかして・・・。

もしかして・・・。

俺はまりあのことを
まだ愛してるんじゃないのか?

そんなことを考えているうちに、電車はあっという間に
俺が住んでいた街に到着した。

「懐かしいな・・・」
自然とそんな言葉が口を突いて出てくる。

この街は何も変わっていなかった。
俺が出て行った時と同じ風景で、また俺を出迎えてくれた。

そして俺は走り出した。

まりあと出会ったあのマンションに向かって…。

あたりはそろそろ、暗くなり始めていた。
俺はマンションまで、全力で走った。

胸が痛い!

でも走った。

社会人になってすぐに、大きなミスを犯した。
あの時も会社を目指して、汗だくになって走ったっけ?

なぜだか分からないが、そんなことを思い出していた。

でも・・・。
あの時は自分の為に走っていた。
自分のミスが怖くて走っていた。

今は・・・・。
元カノの為に走っている。

まりあの為に走っている。

245 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 21:59:30.39 ID:fAJ/LJk0
なぁ。まりあ・・・。
お前は俺にとってどんな存在なんだよ?

こんなに走っていても・・・。

こんなに息が苦しくても・・・。

こんなにあせだくになっても・・・。

やっぱりまりあの笑顔を思い出したら…。

今こうしていることが、全然苦痛じゃないよ。

でもさ・・・。

会えるのかな?

そんなドラマの最終回みたいなシーンが
一般人の俺とまりあに訪れるのかな?

これでもし、まりあが待っていなかったら
ピエロすぎて、笑い死ぬよ。

途中で、まりあがバイトをしていたカレー屋が出てきた。
一応外から確認してみる。

もしここでまりあが
カレーを食べていたら驚きだが、それはなかった。

川が見えた、まりあと最初にデートをした
俺が大好きな川だ。

川辺を見ても、ここからでは暗くてよく確認ができない。

俺は下に降りてみた。

マンション以外だと、次に有力なのがここである。

まりあとおにぎりを、食べたあたりを探してみた。

ハァハァと息を切らせながら
まりあとの初デートを思い出していた。

まりあが作ってくれたおにぎり・・・。
あり得ないくらいデカかったよな。

思わず笑いが込み上げてくる。

そして小魚を追って川に転げ落ちたことを思い出した。

かなり情けない姿であった。

246 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 22:00:50.11 ID:fAJ/LJk0
でもさ・・・。
俺の顔をハンカチで拭きながら笑っていたまりあ。

俺はあの時のまりあの笑顔が・・・。
今でも忘れられないくらいに大好きなんだ。

めちゃめちゃ幸せだったんだよ。

仕事で夢を見ているだけでも十分幸せだった。
そんな俺に、神様はまりあまで与えてくれた。

たぶん俺の人生で一番居合わせだった時かもしれない・・・。

しかしここにも、まりあの姿は無かった。

やっぱあそこしかないよな。

もうマンションしかない!!

俺はまた走り出した。

俺はアホだ・・・。

何やってんだ・・・。

まりあがいるわけないじゃん・・・。

ここでまりあがいるのは、ドラマの世界なんだよ・・・。

まりあを信じつつも、最悪の事態を想定して心が予防線を張る。

でもさ・・・。

でもさ・・・・・・。

もう後悔したくないじゃん・・・。

あの時みたいにさ・・・。

だって・・・。

だって・・・・・。

俺やっぱり、まりあが好きだもん!!

もう自分の感情に、嘘がつけなかった。

未練タラタラのみっともない男ですよ!!

俺は・・・・。

247 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 22:01:58.66 ID:fAJ/LJk0
それでも、まりあ好きなんだから、仕方ないじゃんよぉぉぉぉーーーー!!!!

ハッキリと分かった瞬間だった。

カッコ悪くても。

情けなくても。

みじめでも。

人から笑われても。

時間が経っていても。

それが親友に奪われた相手だとしても。

そんなの全部ひっくるめて。

やっぱ俺・・・。

まだまりあが好きなんだよっ!

仕方ないじゃんよ・・・。

これが今の俺の正直な気持ちなんだもん・・・。

俺はマンションに到着した。

この場所に来るのも、約2年ぶりだ。

俺はマンションの前で、まりあの姿を探した。

しかしどこにも、まりあはいなかった。

俺はマンションを見上げた。
妙に懐かしい気分が、込み上げてきた。

目を閉じてみる・・・。

色々な思い出が、次々と蘇ってきた。

248 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 22:03:34.76 ID:fAJ/LJk0
まりあと初めて出会った日のこと。

油田と3人で、カレーを食べたこと。

まりあの部屋で
俺のディレクターデビュー作を観たこと。

渡辺が引越してきた日のこと。

終戦まりあ記念日のこと。

まりあへ告白したこと。

まりあと初めてキスしたこと。

悟と3人での夕飯を食べたこと。

まりあと初めて、一線を越えた夜のこと。

そして最後に、303号を出た日のこと。

全部・・・。全部・・・。

ここから始まって、ここで終わったんだ・・・。

俺はエレベーターホールに入った。

エレベーターに乗り込んで、3階のボタンを押した。

なんだか久しぶりだよな。

このエレベーターも・・・。

3階フロアに到着した。

もうここしかないよ。

ここにいなければ諦めるよ・・・。

しばらくすると
「チーン」というエレベーターの到着音がした。

この音すら懐かしい。

自分の胸の高鳴りが分かる!

249 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 22:05:11.42 ID:fAJ/LJk0
でもさ。
もしここにまりあがいたなら・・・。

俺の部屋で一線を越えたあの日以来
約2年ぶりに会う事になるんだよな?

俺は少し緊張した。

最初に掛ける言葉すら思いつかない・・・。

エレベーターを降りて、部屋がある廊下に出た。

302号室の前・・・。

やっぱりね・・・。

そこに袴姿の女の子が立っていた。

その子は本当に小さくてさ…。

いつも一生懸命なんだけど
誰かが守ってあげないと、すぐに壊れてしまいそうなんだよ・・・。

袴姿のその小さな女の子は
俺の住んでいた、303号の方を向いている。

そうか、今日は卒業式だったよな。
だから袴姿なのか・・・。

「まりあ・・・」

俺はその後ろ姿に、呟くように声を掛けた。

まりあ・・・。

まりあがゆっくりとこっちに振り向いた。

「光輝くん・・・」

約2年ぶりに見たまりあ。

袴姿だからかな?

少し大人っぽくなったね。

でもさぁ・・・。
その丸くて童顔な顔立ちは、なんも変わってないな。

まりあは少し涙を浮かべた瞳で
黙って俺の顔を見つめている。

250 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 22:06:12.34 ID:fAJ/LJk0
言葉が出ないよ…。

伝えたいことや、言いたいことはいっぱいあるのに…。

なにも言葉が出ないよ。

最初に口を開いたのはまりあだった。

悲しそうな顔で「ごめんなさい・・・」と呟いた。

まりあが目の前にいて。

ちゃんと言葉を発していて。

間違いなくまりあの存在はそこにあって・・・。

俺は安心した。

良かった・・・・。
まりあが無事で本当に良かった…。

しかし、俺はなんて未熟な人間なのだろうか?
安心したその感情とは、裏腹な言葉を発していた。

「心配したんだからな・・・」

安心した瞬間、急に仕事を投げ出してきた自分を思い出した。

なんで心配かけるんだよっ!
なに元カレに助けを求めてんだよっ!

「どこにいるかメールの返事くらいしろよなっ!!」

少し大きな声を出した。

まりあは悲しそうな表情でうつむくと
小さな声で「ごめんなさい・・・」と呟いた。

またしても沈黙が流れる。

251 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 22:07:19.34 ID:fAJ/LJk0
お互いがどんな言葉を切り出せばいいのか
分からない状態であった。

このまま黙っていても仕方がない。

確かに俺は、まりあが大好きだけどさ・・・。
その感情に気付いてしまったけどさ・・・。

なぜまりあが、俺に助けを求めたのか?

悟とは何があったのか?

確かめる必要がある。

だから俺はここに来たんだ!

じゃなきゃ
今の状態はまりあが身勝手すぎるよ。

「俺・・・今日は大事な仕事があったんだよ・・・」

しばらく沈黙があったあと
まりあは俯いたまま、涙で俺の言葉に反応した。

「今日ね・・・。大学のね・・・。
卒業式だったんだよ・・・」

それは油田にも聞いていた。
でもそれが今何の関係があるのだ?

俺はまりあの次の言葉を待った。

「大学に入ってね
すぐにこのマンションに越してきたんだ・・・。

両親は猛反対したんだけどね。

どうしても自立がしたくって・・・。

その時にね。
一つだけ誓ったことがあるの・・・」

まりあが顔を上げた。
その目からは涙が溢れている。

まりあはその涙を拭うことをせずに、次の言葉を続けた。

252 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 22:08:12.37 ID:fAJ/LJk0
「4年後・・・。
大学を卒業する時は・・・。
大人になってこのマンションを出たいなぁーって。

甘やかされて育ったからさぁ・・・。

大学を卒業する時には・・・。

大人になって
立派な社会人としてここを出て行きたいな・・・って。

私ね
4年前にそんなことを思いながら、ここに引っ越して来たんだぁ」

初めて聞いた話だった。
俺もこの場所から、新たな人生をスタートさせたいと思っていた。

でもまりあがここに住んでいるのは
単に大学と実家が遠いという理由だけかと思っていた。

彼女なりに、1人での生活を決断するのには
それなりの思いがあったのだ。

「そんな時にね・・・。
私とは逆に社会人として
ここからスタートする光輝くんに出会ったんだよね。

すごく大人に見えて・・・。

仕事も一生懸命で・・・。

カッコ良くて・・・。

憧れていたんだよ?」

そういうとまりあは、涙目のままニコッと笑った。

「そこまで立派な人間じゃないよ・・・。
仕事も辞めちゃったしさ。
立ち直るのにもすごく・・・時間掛かったしさ・・・」

本音である。
俺はカッコいい人間なんかじゃないんだよ。

俺の言葉を聞いたまりあは、ためらいがちに言った。

「ここね・・・大切な場所だったから。
この場所で待っていたら、光輝くんが来てくれるようなきがしたから・・・。

自分で勝手に運試ししちゃった。
光輝くんが来てくれなかったら・・・。諦めようって・・・」

253 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 22:09:04.36 ID:fAJ/LJk0
それが返信が無かった理由だったのか?

でも・・・。
諦めるって何をだよ?

「ごめんね・・・」

まりあが涙を拭いながら呟いた。

「私またお仕事の邪魔しちゃったね・・・。

本当に・・・
本当にごめんなさい」

そう言うとまりあはペコリと頭を下げて

「帰ります・・・」
と呟いた。

きっと我慢をしていたのであろう。
大学卒業のこの日に、まりあなりに大人になろうとしていたのか?

さっきまでも、涙は流していたが
決して表情は泣き顔にならなかった。

しかし・・・。

我慢の限界だったのか
ポロポロと涙を流すと

「ぅぅぅ・・・。。。」と子供みたいにすすり泣きしながら
まりあは涙を拭い、俺の横をすり抜けようとした。

おい・・・?俺
このまま行かせていいのかよ?

大事な仕事を放り出してまで、まりあに会いに来たんだろ?
このまま、まりあを行かせてしまって後悔しないのかよ?

後悔は・・・するに決まっている!
2年前のあの時の様に・・・。

254 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 22:09:57.92 ID:fAJ/LJk0
もう後悔だけはしたくない!
まりあはまだ、いま目の前にいるんだよ・・・。

でもさ・・・。
情けない男だけどこれだけは聞かせてくれよ。

まりあにとっては心の傷かもしんないけどさ・・・。
この問題から目を背けても、その先はないんだよ・・・。

「さ・・・悟とは・・・どうするつもりなんだよ?」

勇気を振り絞ってその言葉を吐き出した。
血液が逆流した様に全身が熱くなる。

まりあの前で悟の名を出す時が来るなんて
想像もしていなかった。

俺のその言葉を聞いた瞬間、まりあの動きはピタリと止まった。

重い空気が流れ出す・・・。

でも逃げないよ。

ここでまりあの本心を聞かなかったら
2年前のあの時と同じじゃん。

「私は・・・」

まりあが小さい声でそう呟いた。
その言葉の後は、ジッと地面を見つめていた。

表情が分からない・・・。

「こんなことは卑怯だし・・・。
今更信じてくれないだろうけど・・・」

俺は俯くまりあから視線を逸らすことはしなかった。
まりあはいま、勇気を振り絞って本心を語ろうとしている。

次にどんな言葉が投げかけられても
俺には凡てを受け入れる義務がある!

255 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 22:10:37.53 ID:fAJ/LJk0
「ずっと・・・。ずっと・・・。

光輝くんのことが・・・。

好きで・・・。

でも私が側にいたら・・・。

光輝くんの仕事の邪魔して・・・。迷惑を掛けて・・・」

まりあはそう言うと
また「ぅぅぅ・・・」と子供のような泣き声を上げた。

「だからあの日・・・。光輝くんと・・・。
初めては光輝くんとって・・・。思っていた・・・んだ」

まりあは涙声でそう言った。

胸が熱くなる。
仕事は・・・。
俺の力が足りなかっただけなんだ!

まりあのせいじゃない!

仕事がどんなに忙しい時でも
会社を辞めちゃった時でも
まりあの責任だと思ったことは一度もないよ。

むしろ俺があんなに頑張れたのは
まりあがいてくれたからなんだよ・・・。

そうじゃなきゃ
俺はもっと早くに潰れていたんだよ・・・。

「悟くんを好きになれば・・・。

光輝くんを忘れることができて・・・。

光輝くんにこれ以上迷惑かけなくて・・・って思った」

まりあがそっと顔を上げた。
泣き腫らした顔は、まるで子供のようだった。

ああ・・・。
そうだよ・・・。

俺はこの子をずっと守りたい!って思ったんだよ・・・。

この子をずっと一緒にいたい!って思ったんだよ・・・・。

256 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 22:11:36.19 ID:fAJ/LJk0
「でも光輝くんを忘れること・・・。できなくて・・・。
こんな私でも結婚したら忘れること・・・。
できるからなって・・・」

本当は分かっていたのに・・・。
悟と電話した時から、俺は分かっていたのに・・・。

「でもごめんね。
やっぱり無理だったよ・・・。
光輝くんを忘れることなんて・・・。」

まりあ・・・。

ごめんは俺の方なんだよ。

こんなに小さくて・・・。

こんなに弱くて・・・。

そんなまりあをこんな辛い目に合わせて・・・。

ごめんは俺の方なんだよ!

まりあ・・・。

「まりあ」

俺はそっとまりあに近づき手を握った。
そしてその小さな身体を抱きしめた。

まりあは俺の胸の中で泣き続けている・・・。

「俺さ・・・。やっぱり・・・。
まりあのことが大好きなんだよ!今でもさ・・・。」

「私もね・・・。光輝くん」

まりあが俺の胸に、顔をギュッと押し付けて言った。

「やっぱり光輝くんのこと・・・。ずっと好きでした。」

257 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 22:12:16.07 ID:fAJ/LJk0
俺がさ・・・。

これからずっと・・・ずっと・・・。
まりあを守っていくからさ。

ずっとずっと・・・。
一緒にいようぜ!

「これからは何があっても、一緒にいようぜ!」

こういうと俺はまりあを強く抱きしめた。

まりあは小さな声で一言

「はい・・・。」

まりあもう離さないからなっ!

心の中でそう呟いた瞬間、前方に人の気配を感じた!

???

そこには半開きのドアから、こちらを覗うオタクの姿があった。

そのオタクはメガネを持ち上げながら
「やぁやぁ。どうもどうも。」
と場違いな挨拶を投げかけてきた。

「・・・ど・・・どうも・・。」

俺は不自然なくらいに、ソーッとまりあから離れた。

「い・・・いつから??」

「『やっぱりまりあが大好きなんだよ!』のあたりからですかねぇ」

そ・・・そこからですか?

人に一番聞かれたくない言葉は、さすがに抑えますよね?

「しかしまぁ・・・。なんですなぁ・・・。」

油田は俺とまりあを交互に見つめながらこう言った。

「お二人はやっぱりお似合いですなぁ」

あ・・・。ありがとうございます。
油田さん・・・。

258 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 22:13:08.29 ID:fAJ/LJk0
エピローグ

6月16日。
俺とまりあは不動産屋にいた。

3年前、俺に303号を紹介してくれた不動産屋だ。

「7月1日に入居できますので!」
不動産屋のお姉さんはそう言った。

俺とまりあは不動産屋を出てはしゃいだ。

「良かったね!光輝くん」

「うん。マジ良かったよ!」

「意外と人気物件なんだよ。あのマンション!」

「うん。しかも303号が空いているなんて・・・。
めっちゃラッキーだよな!」

俺とまりあは、明日あのマンションに引っ越しをする。

俺とまりあが、初めて出会ったマンションだ!

もう一度あそこから・・・。

油田や渡辺と・・・。

そしてまりあと!

あのマンションの303号で、やり直したかったのだ。

正直お金の問題は痛い。

でもね。世の中お金の問題じゃないことあるよね?

「まりあ・・・。2ちゃんって知ってる?」

「ん?2ちゃんねるのこと?電車男??」

「そうそう。それそれ!!」

俺はずっと考えていたんだ。

あの日からずっとね。

259 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 22:13:59.39 ID:fAJ/LJk0
「俺さぁ。まりあにラブレターって書いたことないじゃん?」

まりあはおかしそうに
「あははは」と笑った。

「書いてやんよ!めっちゃ長いラブレター。まりあに書いてやんよ!」

「そりゃ楽しみだ♪」

「今までのまりあとの思い出、全部文章にしてやんよ!」

「それはかなりの長編になりますねぇ。光輝くん♪」

「毎日毎日・・・。書くからさ・・・。まりあも毎日見てくれよな!」

「掲示板を使ったリアルタイムのラブレターだね!」

俺とまりあは一緒にスレタイを考えた。

まりあも必死で考えている。

自分宛のラブレターのタイトルを・・・。

電車の中でこのスレタイは決まった。

「やっぱ1人暮らしってキーワードは必要だな。うん」

「私の意見を入れます。隣人に恋(を)した。はそうでしょうか?」

「それじゃ。2つ合体させて・・・。憧れの1人暮らし隣人に恋(を)した。これでどうよ?」

「いいと思います♪」

「7月1日までの引越しまでに書き終えるぜ!」

こうして俺は、毎日毎日レスを重ねていった。

当初、考えていたスレタイは

「憧れの1人暮らしで隣人に恋(を)した」であった。

あれだけ、誤字脱字を気にしていた俺が

最初のスレタイから、間違えていたのである。

まぁ・・・。俺らしいかもね。

260 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 22:14:48.82 ID:fAJ/LJk0
なんとか明日。
俺とまりあが新しい生活を、始めるまでに間に合いました。

この2週間。書くのがつらくてつらくて仕方のない時もあったけど・・・。

こんなに多くの人を巻き込んでしまった

長い長いラブレターが書き終わりました。

やっぱり最後はこの言葉で、このスレ(ラブレター)を締めたいです。

このスレに関わった全ての人に・・・。

どうもありがとうございました。

油田、渡辺・・・。

また明日からよろしくな!

そしてね・・・。

いつか俺に向けてこんなレスがあったんだ。

「今の二ノは幸せなの・・・?」

返事が遅くなってごめんね。

俺はね・・・。
今ハッキリと言い切れるよっ!

大好きな人に囲まれていて・・・。

すごく幸せです。

そしてまりあ・・・。

俺はやっぱり・・・。

まりあが大好きです!

憧れの1人暮らしで隣人に恋(を)した

261 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 22:15:42.82 ID:fAJ/LJk0
最後に俺からみんなへ報告があります。

来年から終戦まりあ記念日は

終戦まりあ『結婚』記念日になります。

もちろん俺とまりあのだよっ!

最初にVIPにスレを立ててから5ヶ月以上も経ったね・・・。

みんなとお別れの時がやってきました。
最後はやっぱり、この言葉でスレ(ラブレター)を締めくくりたいです。

俺はずっとずっと・・・。

まりあが大好きだよ。